SS AIR TWがちゃんと発表された!

フィッシングショーでちょいだしして無かったことになったSS AIR TWが正式発表になりました。

DAIWA SS AIR TW

スティーズCTボディの28mmフィネススプールモデル…とおもったら、なんと驚きの新機構搭載でした。新しい何かが搭載されてるのだけはフィッシングショーのミス表示でわかってたんですが、そこまでとは。

SS AIR TW概要

基本スペックはこのような感じ。この点だけであればこれまでのダイワが力を入れまくっているベイトフィネス28mm機とさほど差はありません。

巻取り長さcm/ハンドル1回転)74
ギア比8.5
自重g145
最大ドラグ力kg3.5
標準巻糸量:ナイロン(lb-m)6-45、8-45
標準巻糸量:PE(号-m)0.8-45
スプール寸法(径mm/mm28/21
ハンドル長mm80
ベアリング(ボール/ローラー)8/1

ベアリングの搭載数はちょっと控えめですね。12個になるベアリングのうち8個ということはハンドル非搭載、レベルワインダー搭載かな?

個人的にはハンドルがベアリングでレベルワインダーはPOMのほうが好みで、どのみちキャスト時に連動するわけでもないところに錆びやすいベアリングは不要と考えています。

スプールは定番のG1ジュラルミン製 Φ28mm AIRスプール。今回もKTF開発協力とのことですので性能自体は間違いなし。メーカーグレードで作る(安全マージンのやや高い)KTFスプールが搭載されていると考えれば文句もなし、といったところ。

最大の特徴は、新しいブレーキシステム「SS MAGFORCE」を搭載しています。これがスティーズAIR〜シルバークリークAIRまでの現行φ28mmと違うところ。スプールからして別構造です。

もちろんHYPERDRIVE DESIGNが採用されていますし、ドラグクリッカー搭載と、必要な機能は一通り揃っています。

ボディは見た感じスティーズCTベースで、CTはスティーズ系のデザイン上の欠点と思ってる「ギア側のビス用のホール」がないため、パーフェクトと言って良いデザインに仕上がっています。

このあたり、シマノはもっと気を使った方がいいなぁと思うところ。カルコンが芸術品なように、メタニウムやアンタレスが美しいたたずまいを持っているように、アルデバランBFSにもその細かな美しさを追求してほしいなーと思うところです。

リール業界に唐突に現れたゲルググみたいなデザイン、デザイン上の工夫を感じないブレーキダイアル、いつものハンドル側のフレーム表のビス穴と、性能は素晴らしいだけに、個人的に本当に残念。

(まあ海外系のリールだと謎のシャークデザインとかあるんですけどもね)

SS MAGFORCE機構

これはざっくり言うと「外向き」だったインダクトローターを「内向き」に変えたものです。構造みたほうがはやいですね。

DAIWA SS AIR TW 公式サイトより

AIRブレーキがインダクトローターを押し出し、ユニットがブレーキに近づく事によってブレーキをかける可変構造なのはいままで同様。

違いはインダクトローターをスリットに差し込むか、インダクトローターそのものが内側に入るかの違い。

構造的にはシマノのFTBの発想に近い(磁石の向きは逆)かなと思います。

これまでのインダクトローター方式よりもSS MAGFORCEのほうがよりシンプルですね。

この構造にしてぱっと見てわかるメリットは「インダクトローターの小型化」「シャフトの短軸化」「サイドカップの薄型化」、加えて構造の簡素化、軸受け部分の強度の向上にも繋がっていると思います。

ただ、このブレーキ構造はスプール径が深溝になるほどブレーキが小さくなる(力が下がる)矛盾を抱えるため、シャロースプールでしか十分なブレーキ力を発生できません。

おそらく構造は元々考えられていたと思うのですが、一つのボディに浅溝〜深溝〜MAG、SV、MAG-Zとバリエーションのある商品展開ができず、採用に至らなかったのだろうなと思います。

ただ、IMZにしろ「サイドカバーだけで味付けを変える」という発想があるようなので、今後、サイドカバーの違うシャロー専用モデルとして展開する可能性はありますね。

スプールが25%の軽量化

「インダクトローターの小型化」「シャフトの短軸化」はどちらもスプールの軽量化に繋がります。

アルファスAIRのスプールが8.1gとのことなので、25%低減で5g台。となると、インダクトローターが小型化し、シャフトが短軸になったからといって削れる重さではなさそうですし、スプール本体のブランキングはアルファスAIRよりもしていない印象。

となると、シャフトがステンレスから素材変更されたかな…?という印象はあります。

KTFはシャフトを超々ジュラルミンにすることで全体の軽量化を図って4.2g(ベアリング除く)となっていますね。とするとベアリングを入れると5g前後。

おそらく超々ジュラルミンやチタンなどに素材変更を行い、一方でメーカー純正なので肉薄化に攻めないボビンで仕上げた結果でしょうか。

なんにせよここから25%軽減はすごいの一言です。

「インダクトローターの小型化」がもたらすもの

これは間違いなく低慣性化です。

インダクトローターは慣性の設計的には苦々しいもので、インダクトローターそのものの重さもさることながら、小径化したことは大きいなーという印象です。

「シャフトの短軸化」がもたらすもの

これは主に軽量化とシャフトの強度アップですね。おそらくシャフト関連はスプール重量減のかなりを占めているはずです。

また、予想としてはステンレスからより軽量なへの素材変更がなされたと思われるスプールシャフト。

シャフトだけは大径スプールも小径スプールもかわらない3mm径の棒ですから、どうしても重くなります。

ダイワのショートシャフトであれば一般的なスプールでもステンレス以外を使っても強度面の問題はないように思いますが、全体重量比で考えると中心にあるシャフトの慣性への貢献度はあまり高くありません。よって、純正スプールと考えるとシャフトの材質をコストに優るステンレスから変更する理由はありません。

一方でAIRスプールとなると全体が極めて軽量。投げる対象も軽量。ともなれば、そのシャフトが僅か1gなり2g減るだけでも影響はでるでしょう。フィネス用ですから想定される強度もメーカー基準をクリアしたのだろうな、というのは想像できます。

その長さを変える、素材を変えるだけで全体の重量への貢献度が大きくなりますし、商品訴求力としても25%という数字のインパクトはやっぱり大きいですよね。

欲しいか、欲しくないか

そりゃ欲しいです!

IMZも驚きはありましたが、着実でありここからさらに深化するのという驚きでは、SS AIR TWはより驚いたリールに仕上がっていました。

ベイトリールにおいてスプールのより低慣性化は正義そのものですから、ほしい構造しかつまっていません。一方で釣具の値上げの波を受けて、価格設定はやはりちょっと厳しいなぁというのは感じるところ。

定価は発表時点で52500円(税別)ですから、各種キャンペーンを組み合わせても4万円前半くらいでしょうか。

悩ましいなぁ…。結局出番との兼ね合いなんですよね。

ちなみに、もし「これから1gの世界のベイトフィネスを本気でやるぞ」という方であれば、SS AIR TWはオススメできますね。

結局ここにたどりつくのがわかってるからです。

超ベイトフィネス系ロッド、例えばクリアブルーのクリスタやFishmanのInteとのセットでスーパーフィネスの世界が楽しめるはずです。