名作ジグヘッドワームJOLTYをいじる

転売屋も長期にわたり市場を荒らした、VJに継ぐジグヘッドワームシステムの名作といえばBlueBlueのJOLTY。

今でこそ供給が追いつき、激しく争奪戦をしなくてもちらほらと通販でも買えるようになりましたが、未だに「いつでも好きなのを買える」とはやはり遠いところです。

そんなJOLTYですが、個人的にずっと「どうにかならんかな」と思ってた点がありまして、それが「ワームの可動域の狭さ」にあります。

これを綺麗に解決する仕組み自体は思い付いてるんですけど、メーカーから出ないのは〜なんででしょうね。ワームは確かにセットしにくいところはありますが…。

折角なので手元の材料でササッと作れる範囲で加工して実現しちゃいました。

とりあえず真っ先にこれを見てください。(Youtubeチャンネルを作成しました。見れない場合はこちらからどうぞ

これくらいぶるんぶるんします。元のジョルティがテールだけが動く感じに見えますね。

しかし、テールフックはジョルティと同じ貫通式で、既定の位置にリアフックアイがちゃんとあります。

”ぶるんぶるん”ジョルティ製作記録

アームを切り飛ばす

ガッツリ切り取ります。かなり太いワイヤーなので、喰い切りという切断道具か、クランプカッターを使ってください。ワイヤースリーブペンチは釣り用のワイヤー仕掛けに使うダルマスリーブをカシメられるサイズなので持っておくと便利です。

クランプカッターは根元からは切れず、食い切りは構造上長いものを切るのは不得意なので、根元から綺麗に切るなら両方使う感じですね。

ワームキーパーにフック接続用のアームを作る

ここからは99HEADでの作業風景になりますが、切り飛ばした後のJOLTYのヘッドと形は同じです。

そのままでは何もつかないので、リアフックのアームを作ります。

ここで柔軟性のあるものを使うのがポイント。つまり固定式のワイヤーアームからアシストラインに置き換えるということです。そのまま伸ばしてもいいのですが、劣化すると交換が手間なので、根元はスプリットリングにして、追加でアームを伸ばします。色々やってみましたが作りやすいものを紹介。

アシストラインのアームをつける

タイラバで使うアシストライン(10号)くらいを用意して、フックキーパーの段差に縛り付けます。ユニノットの輪っかを大きめにつくり、3回ほど輪っかを捻って通してメインライン側を引っ張って締め、反対側にはスプリットリングを通す輪っかを作ります。

八の字結びで大きな輪っかを作ってそれで作業しても問題はないですし、ヘッドのトレブルフックアイに接続して、そこから根元でぐるぐると巻き付けてから同じように伸ばしてもよいかと思います。

アシストラインを固定し、スプリットリングを取り付ける

アシストラインが下側になるよう、適当なPEで巻き付けて瞬着で固定します。下側にするのはフックキーパーとアシストラインが接触するのをできるだけ避けるためです。

スプリットリングを取り付けて根元のアームは完成

ワームにあわせてリアフックアームを延長する

延長アームには、アスシストラインにヒネリのテンションがかかりにくいよう、スイベルを使った方が良いかなと思います。

10号のアシストラインですから、引張だけならそうそう壊れる強度ではないと思いますが、捻られるとどうしても弱くなりますからね。念のためというやつです。

ワームのつけ方

ここが最大の欠点でして、金属製のアームではないため、そのまま差し込むことはできません。

そのため、ワームの交換はややめんどくさいです。

ワイヤーで治具をつくるか、竹串にPEの輪っかをつける、PEを通して引き抜くなど、なんらかの方法で引き抜いてください。

治具を作ると交換自体はそんなに面倒でもありませんけども、やはりこの点は差込式にはかないません。

一方でワームが抜けるなどのトラブルもありませんので、一長一短、といったところです。

まとめ

ジョルティの重心移動ヘッドが優秀という事でジョルティや99HEADで作っていますが、これ自体はワームキーパーとトレブルフックアイがあればできますので、改造自体は前述の通り、ジョルティジグヘッド以外でもできます。

例えば重心移動アイをもつ「ぶっ飛び静」や「ファイアヘッド」などでも作ることはできますし、その他、どんなジグヘッドでもできます。OSPのグライディなんかは面白いなと思ってます。

フックの鈍ったジグヘッドのリサイクルにも有効かなと思いますので、ご活用ください。

また、トレブルフックをつけないとしても、例えば普通のジグヘッドのようにシングル・上針にしても、アシストラインを通す形ならワームの柔軟性を持ったまま、やや後ろ気味にフックを出す、なんてこともできます。

さらなる派生チューンではありますが、細いバネ線や形状記憶ワイヤーを細工して仕込んでおくことで、柔らかいワームの中にほどよい弾性のある、背骨のような機能を持たせることもできますね。

momo
momo

高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に魚を掛けるのです!

難しい加工は特にありませんので、みなさまも良かったらお試し下さい。

注意

切り離し作業は結構危険が伴います。全て自己責任です。

袋の中で作業するなど、切り離したパーツが飛び出さないよう、また、フックはかならず取り外して作業してください。ジグヘッドの場合にはフックポイントをガムテープで包むなど、怪我に気をつけて作業してください。

作業について怪我などについては責任を負いません。

ルアーアクションは結構変わると思いますので、ジョルティのよさを潰す可能性はあります。

余談:ジグヘッドワームの形と可動域の話

長いので暇な人はどうぞ。

ジグヘッドワームは差込式と貫通式の二種類

システム的なジグヘッドワームの固定方法は概ね貫通式差込式の2種類と個人的に分類しています。

アームのあるVJ型、差込とフックアイだけの99HEAD、その他にもいろいろありますが、ようは「ボディに差し込む棒はワームの固定専用」なのが差込式です。

貫通式はジグヘッドの固定具(多くは矢尻のような形)に差込み「フックはジグヘッド本体、もしくはジグヘッドから外側に出たアームアイにフックを取り付け」る方式です。

※一般的な汎用ジグヘッドは後者と同じ機能性ということになります。オフセットフック形状でもワームの動きは抑制されるので同様です。

差込式のメリットとデメリット

差込式のメリット

この仕組みの最大のメリットは「ワームの可動域を大きくとれること」です。

テールフックまでアームを貫通させる場合、どうしてもテールフックの位置までは可動が抑制されますが、外側にアームを出す、または、スイベルなどで延長したテールフックをワームに引っかける形であれば、ワームの動きはより動くようになります。

差込式のヘッド自体は「トレブルフックアイのついたジグヘッドのメインフックを折ったようなもの」とも言えますから、普通のジグヘッドに差して使う事も出来ます。

差込式のデメリット

欠点は「ワームが抜けやすいこと」ですね。どうしても貫通していないので抜けやすい。ワームだけをかじられて抜ける、ストラクチャに引っかかって抜ける。

キーパーをより長い矢尻形状などにすれば、保持量は上がりますが可動域が下がり、短くすればするほど抜けやすい。別のワームキーパーのようなものをつけるケースもありますが、これも可動域を減らす一因になります。(フックキーパーにアイがついていて、横軸に棒を差し込むタイプもあります。)

結局、接着剤でつけるなどの対処は必要になりますが、ワームの交換の容易さスポイルされます

また、「別のメーカーのワームも比較的容易に差し込めてしまうこと」は商業的なデメリットでもあります。代表的な例だと、VJのヘッドは持ってるけど、ワームは高いから別のでいいや…。みたいな、こういうケースですね。

貫通式のメリットとデメリット

貫通式はワーム本体をテール側フックアームを兼ねる芯が貫通します。Duoのハウル、マーズストライクヘッド、そしてジョルティと、基本的には同じジグヘッドからヘの字にアームが伸びてリアフックアイとなる形をしてますよね。

貫通式のメリット

この仕組みの最大のメリットは「抜けないこと」と、商業的に言えば「システム化される」ことですね。

アームを通した先にはトレブルフックがついていますから、基本的にすっぽ抜けるコトはまずありません。

そして、その形状ゆえに、システム以外のワームでは、その貫通するアームを適確な位置に通す穴をあける作業が必要で、基本的には同システムの中で買いそろえる必要がでてくるため、差込式の「他のメーカーの似たようなワームを使われてしまう」という欠点をクリアしているのが貫通式です。

デメリットは「可動域がテールアームより後ろだけになる」事ですね。太い金属が通るわけですから可動はしません。これは通常のフックより後ろ側しか動かないジグヘッド+ワームと同じ欠点をもつとも言えます。

貫通式のデメリット

アームを通すが故に「ワームの可動域が狭くなる」事ですね。ようはアームによって稼動しない背骨が入ってしまいます。

そのため、基本的にはワームの半分以下、テールのみが動く事になります。差込式に比べると明らかに可動範囲は狭い。

また、メーカー側にはメリットであるシステム運用はユーザ側にはデメリットでもあります。

可動域はあったほうがいいのかどうか

コレは正直わかりません。

ただ、一つの参考として、コアマンのIJ-16のワームキーパー部分について、やはり今まで通りの可動域を保っていること。これはシャッドではないアルカリでバイブレーションの波動をワームで増幅して出すためにはあの可動域が必要、と考えていると思いました。

また、ヒラメ用のメソッドに「MJリグ(現在はSMJリグ)」というのがあります。こちらも可動域+飛距離重視のメソッドで、ワームそのものの柔軟性を活かし、曲がるよう工夫されたリグです。シンカーの自由度が高く、直リグに近いけど、フックポイントはより後ろに、しかし長いワームフックでは死んでしまう可動域は広く、というコンセプトですね。

結局の所、魚が咥え込んだときに小さくなるほうがフックがかかる確率はより高くなる、はず、ということで、ワームの可動域はあったほうがいい、というのが個人的な意見です。