トレブルフックをダブルフックに加工してみた
シンキングルアーの場合、気になるのがやっぱり「根掛かり」
トレブルフックの下向きのフック部分がボトムのストラクチャーにコンタクトして根掛かり…そのまま…というのはよくあるトラブルです。
先日、シャルダス14/20がオフィシャルサイトに入荷しており、そそくさと購入したのですが、ユーザレビューを見ると根掛かりが多いというレビューを見かけました。
シャルダス自体は実は手持ちにあった縦アイのダブルフック、W-F35を使ってダブルフック化してしまったのですが、W-F35はサイズ展開が「1、2、4、6」と番手がやや少なく、大きい方はともかく小さい方で欲しいサイズがない…。
じゃあツインフックだ…と、正直ツインフック、高いですよね。フックがなまったときに気軽に替えにくいというのはデメリットかなーと思うわけです。
なんてこともあり、とりあえず手持ちの工具もあることだし…と、トレブルフックを「下向きのフックがないダブルフック」加工をしてみました。
といっても、やったことは「切り取る」だけです。ただし、注意点があるのでメモ書きシェアです。
これができると8〜12番での縦アイダブルフックが自分でできるようになりますよ。
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注意事項
フックチューンあるあるですが、重量・フック形状が変わることでスイム姿勢、アクション等が極めて悪くなるルアーもあります。その点はチェックして使って下さい。
フック重量がキーになっているものは糸オモリで重さを合わせれば改善するかもしれません。
用意する道具
喰いきり
「喰いきり」とは例えば「飛び出た釘や金具を切り落としたりする切断工具」です。
こういう工具で、私がレザークラフト用に購入した食い切りは
切断能力(mm)
軟鉄線:φ2.6、ステンレス:φ2.0、鉄線:φ2.0、銅線:φ4.0、真鍮線:φ3.0mm、より線:φ8mm
ですので、モンスタークラスの太軸でなければ、1/0くらいまでのフックを処理できる能力があります。
挟んでグっと握り混むことで切り取ります。
ペンチでも切断能力が伴っていればできる作業ですが、切断構造が違うのでギリギリまでカットしやすいですし、食い切りを準備するほうが圧倒的に楽です。
フックポイントを隠すビニールチューブもしくはテープ
作業中の怪我を予防し、必要なフックポイントに傷をつけないように、また、カットしたフックが刺さったり、なくなったりしないよう目立たせるためのものです。
内径0.5mmのチューブはよく新品ルアー等で使われてるアレですね。テープはセロテープでもマスキングテープでもかまいません。
用意するトレブルフック
センターバランスアイのトレブルフック
多くの標準搭載フックはこれになっていると思いますが、1本の針とアイのワイヤーがまっすぐになっているもの(穴が90度についているもの、シングルフックで見立てれば「縦アイ」)になっているものです。
この「センターバランス」の所をカットする事で、スイム中フックがルアーに対して綺麗に添ったまま、ボトムにかかる根掛かりとなるフックポイントがなくなることで根掛かりを軽減しますので、使うフックは「センターバランス」のトレブルフックに限られます。
トレブルは「粘る」もののほうが扱いが楽
粘りのあるトレブルフック、ようは「曲がる」ものですね。DeepStreamさんで記事があるのでそちらをご参照ください。
粘ると言うことは素材自体が柔らかく、カットしやすいんですよね。
定番でもあるカルディバのフックがよいかなーと思います。カツイチもバーブを潰した感じでは曲がるフック。Fimoもこちら側ですね。
一方でがまかつはカッチカチですね。マイクロバーブじゃない場合のバーブを綺麗に曲げるときの力加減が難しく、結構な確率で「折れて」しまいますね。
サイズは1番手〜2番手上
そのままだとカットした針分軽くなってしまいます。重量を合わせるなら1番手〜2番手上のフックを使うとちょうど良くなります。
ただし、全長が短いルアーで元からギリギリのフックサイズのものは前後のフックが絡むこともありますので、絡んでしまう場合は元のフックサイズのままがよいかと思います。
また、フックの重量が軽くなったことでアクションが変化してしまう場合もありますが、その場合はフックの軸に糸オモリを巻きつけ、おおよその重量を合わせたら瞬間接着剤で固定してしまいましょう。
作業をする前にフックの重量をメモしておくコトをオススメします。
ダブルフックじゃダメなんですか?
ダブルフックは1本のワイヤーを曲げた形で作られており、形状は横アイになります。これは必ずしもデメリットではないのですが、元となる縦アイのルアーはフックも縦アイでボディに寄り添うよう、また、スプリットリングが可動域として設計されています。
そのため、横アイを縦アイにする一つの加工としてはスプリットリングかソリッドリングを噛ませて熱収縮チューブで固めてフックのワイヤーが開きにくく、また力がスプリットリングに逃げるようにし、可動縦アイにして使う方法となります。
ただし、この場合どうしてもトレブル+スプリットに比べて、ダブル+スプリット+スプリットとなりますから、ルアーアイからフック先端までの距離が長くなってしまいます。
それを解消するにはフックそのもののサイズを下げる必要があり、結果として欲しいフックサイズが使えない…ということになります。
結果として、目的に対して、ダブルフックではニーズとあわない…というコトですね。もちろんニーズに合えば問題なく使えます。
工作は簡単。ですがちょっと安全には気をつけて
基本的には「ハリを一本カットする」それだけの作業です。 ただ、もしカットしたハリが飛んできて目に刺さったら、どこかわからなくなって踏んだりしたら大変危険なので、安全対策をしっかりと作業をしてください。
針先をカバーしてしっかり隠す
内径0.5mmのシリコンホースです。
これでだいたい1番までは大丈夫ですので、多くのフックで問題はないです。アシストフックを作るときなどに被せておくと作業がしやすいですね。
こうやって穂先を隠すことで、作業中・作業後怪我を防止し、フックポイントを保護します。
フックをカット
切り取るフックをしっかりと確認してください。ここで失敗すると使い物になりませんw
切ったフックが飛び散らないよう袋などの中でカットします
また、二回に分けてカットすると根元までカットしやすいです。
このときに「フトコロでカットしてわざと少し残して少しでもトレブルフックのようにする」というテクニックもあるかなーと思います。
メッキのないカット部分を気休め程度にカバーして完成
カットした部分にはメッキがなくなってしまいますので、あっという間に錆びます。フックポイントじゃないので実用に問題はないと思いますが、気休め程度に何かでコーティングしてあげてください。
マッキーでもマニキュアでも、車用の錆止め塗料でも、適当にぬっておけばいいかなと思います。
フック自体は消耗品なので、テスト的に運用してみるのもあり
ツインフックはやはり消耗品として考えるとちょっと高い。でもダブルフック形状にしたらどうなるかな?というあたりで、試しにやってみるのはアリだと思います。
ただ、本来、根掛かりしやすいシンキングルアーのトレブルは「ラインシステムの強度で十分曲がって回収できるものを選ぶべき」なのだろうなと思うのですよね。
といってもなかなかそうはいかないあたり、細糸至上主義のデメリットかなぁ…と思うところです。
細糸至上主義の風土もある中ですから、1本のフッキング率を減らしてでも、根本的な根掛かり回避を狙うというのは一つの方法だと思います。
また、どうしても折りたくないのであれば、よくボトムコンタクトするフックだけでもバーブレスにしておけば、フックが掛かったケースであればテンション入れて抜いてで弾いていればするっと後ろに抜けてくれたりします。
そのフックだけフックポイントをやや内側に向ける「ネムリ加工」をしてもよいでしょう。
オチはなし
さておき、根掛かりするとお財布にもダメージ、それが貴重で入手に苦労したルアーならメンタルにもダメージ、なんなら釣り場にもダメージですから、根掛かりが減るチューンは大事ですね。
そんなこんなで、誰でも思い付くものけどとりあえず検索してみた、みたいな感じの方に届くといいなという記事でした。
ちなみに、バーブレス化はKEIBAのホビー用ラジオペンチの溝なしモデル。こちら根元にカット歯がないので、この「根元」で、ジックリと力をかけながら、フックの軸にあわせてぐるりと一周力をかけていくと比較的綺麗に行きます。
線径をある程度カバーする「倍力バーブレスペンチ」どこかがつくってくれないかなあ…