21アンタレスDCのハンドルの重さと、ハンドル選定に関して思ったことの話

ネットにあると便利な情報。ということでプチ情報コンテンツ。

まず、21アンタレスDC HGの42mmハンドル(リテーナー/ナット抜き)の重さは

25.6g

でした。ナットとリテーナーで3gないくらいでしょう。
XGの45mmロングハンドルは重量差分を考えると31g(込み34g)前後が参考値となります。

いやあ。思ったより軽い…。カスタム(ロングハンドル化)して、これより明確に軽いセッティングを出すのはなかなか難しいくらい軽いですね。

ということで、今回は私がハンドルカスタムで考えた部分のまとめ記事みたいなものです。

カスタムハンドルの安全圏を考える(重量)

カスタムハンドル化した場合の重量の影響は主に二つ。「クラッチ返り」の問題と「リールの重量バランス変化する」です。

基本的には重量の増加そのものは悪影響という印象です。

クラッチ返り

キャストしたときにクラッチが戻ってギアがギャギャーってなるやつです(雑)

原因は主に二つ。一つはキャスト中にハンドルに触ってしまう接触事故。もう一つはキャスト時にハンドルの自重によってクラッチスプリングの固定力を超えた入力が入ってしまう事です。

※これはメーカーが考えるそのリールのクラッチ(スプリング)の強度設計。ダイワのリョウガ シュラプネルで公式なクラッチ返り対策サービスをやってますので、クラッチスプリングが設計上クラッチ返りを防ぐ要素である事は間違いないようです。

これはキャストするときにハンドルに回転運動がかかり、ハンドルが動作してしまうことでクラッチが戻ってしまうということで、てこの原理と遠心力によって増加するハンドルの長さ、ノブの重さは重要な要素の一つになります。

通常、ダブルハンドルは反対側の同じ重さのハンドルによってバランスが保たれていますし、基本的な防止法としては「ちゃんとハンドルを上か下に構えてキャストしろ」なのですが、とはいえ、クラッチの固定力を超えるような入力があれば回り続けなくてもクラッチを切れる程度には動いてしまいます。

さて、夢屋のアフターパーツを考えると、夢屋の48mmハンドル(63g)がアンタレスDCの対応型番、BH-1として出ていますし、それくらいまでのハンドルならよほど駄目な振り方をしない限りそうそう返ったりはしないのかなぁ…とは思います。

が、しかし

本記事では、21アンタレスDC XGの34g前後を「ある程度の環境化においてもクラッチ返りに十分耐える重さであり、リールとのバランスが優れている重さ」と定義します。

なぜなら、次の項で述べるリールの重量とタックルバランスとの関係があるからです。

リールの重量バランスの変化

ベイトリールはスプールセンター付近にリールフットがあり、そこを中心に片側にブレーキユニット、ハンドル側にギア・ハンドルと重量物詰め込まれているため、元から大きく重量バランスは傾いています。

スピニングの場合それを「ぶら下げてる」ので影響が極小(ないわけじゃない)といっていいレベルなのですが、ベイトリールはロッドの上に乗せているため、こと一番端にあるハンドルの重量変化に敏感となります。

つまり、ハンドルの重量が変化すると言うことは常に掛かるロール(竿を中心に横に倒れようとする動き)がより大きく変化すると言うことです。

数gくらいなら大した差はないとは思いますが、例えば130mm+金属ノブのような、標準よりも30g、40g増となると、中心軸(ロッド)から遠いウェイトはより大きな影響を与えてきます。

もちろん、タックル全体のウェイトバランスが変わるのもありますが、このロールの変化は必ずロッドを持つ手を捻る負荷となり、キャストにもリーリングにも変化をもたらしますので、あまり重くするのはバランスを崩してしまう可能性が高いといえます。

※例えばサイドカップの中に影響のない形で板重りを仕込む「リールカウンターバランス」みたいな考え方もありなんじゃろうかと思うところです。

カスタムハンドルの長さを考える

カスタムハンドルの長さ面での機能性を考えるときの一つは「長さによる巻きの変化」ですよね。

巻きの変化

ロングハンドル化することで円周が大きくなり、てこの原理によりハンドルを回したときにギアにかかる力(トルク)はより大きくなるので基本的には「体感として軽く」なります。

つまり散々いわれてますが…

ロングハンドル化:ローギア効果
トルクが増す事で巻きあげが軽くなるが、反面、トルクで打ち消してしまうため操作感度は下がります。

ショートハンドル化:ハイギア効果
トルクが下がるので小さな負荷から変化がわかるようになり操作感度は上がりますが、反面、巻きが重くなります。

ということですが、あくまでも「効果」であってギアが同じであればギアとピニオンの関係そのものは変わっていません。

また、ハンドルが長くなると言うことは、ハンドル一周の円周の距離が増えます。

一周するために必要な距離が伸びると「同じ速度で回したときには時間あたりのメインギアの回転量が減る = スプールの回転量が減る = 時間あたりの糸の巻き上げ量は減る」ということになりますので、1秒1回転など、時間あたりの糸巻き量を維持するためには交換以前よりやや早く回す必要があります。

それぞれの体格や巻き方とのフィッティング

「円周距離の変化」というのは、その釣りにしっくりくるのが手首で回すのか、肘巻きなのか等、それぞれの体格や用途にあわせた手首や肘の円運動にハンドルの長さをあわせることがです。

手首巻きはクイックに巻く事を得意としていますが、力は手首に依存するのでトルクは出ません。また、ノブも指でつまめる形になりますのでノブの形状もある程度小さなもの、細いものになります。トルクがかけにくく、指先での動作になるため、ノブから伝わってくる感度は高い操作になります。

一方で、肘巻きは使う筋肉が大きくなるため、より強いトルクが出せます。ただし、肘巻きは体の構造から小さく素早く回すはちょっと苦手で、小さなノブで肘巻きをするとノブのグリップが少し足らない(回しにくいな)と感じるかもしれません。また、手のひらでグっと包んでしまうため、どうしても相対感度は下がります。

ただ、このあたりはロングノブという(ある程度)つまんで操作できて(ある程度)握れるハンドルノブである程度解決できるところはあります。

手の大きい人は手首巻きでもやや長い方がやりやすいと感じるでしょうし、手の小さい人は110mm程度のロングハンドルでも肘巻きが楽になったりするので、ファイトを楽にすることができます。

この「巻き姿勢の変化」については完全に人によりますが、XGのロングハンドル化より、HGのショートハンドル化+パワーノブのほうがしっくりくる人もいるかもしれません。

チューンはロングハンドル側に偏りがちですが、実際はショートハンドル化も考慮すべきポイントになります。

ロングハンドル化にある明確なデメリット

ロングハンドル化、そしてパワーノブやロングノブの大型化については明確なデメリットがあります。

それは ファイト中など、高負荷時にリール筐体やギアにかかる負荷が設計より大きくなる ということです。

指先でつまんで入る力と、手のひらで包んで込める力、それぞれの入れやすさに圧倒的な差があることは言うまでもないでしょう。

そこには長さによるてこの原理が加わるわけですから、ロングハンドルとパワーノブの組み合わせでパワーファイトをすると、リールやギアの強度設計を超えた負荷を容易にかけられてしまう可能性に繋がります。

そのため、長さによっておきる変化についても「重量」「力のかかり方」など考えると、リール本体のダメージを抑えながら、巻きやすい長さ、巻き量の変化などから選定する必要があるのかなーと思うところです。

ショートハンドル化にある明確なデメリット

これはロングハンドルの逆ですから「トルクが下がる」事にあります。

クランクベイトやビッグベイトなど巻きの重いルアーを操作するとき、どうしてもショートハンドル化による手首での操作+小さなノブではパワーの伝達力が不足します。

そのため、トルクを補うためには大きめのパドル、ロングノブなどノブを大きく・長くして伝えやすくする必要があります。

ただし、大きなノブを扱いやすい肘巻きするには円周が小さい等、アングラーの体格によっては向かない可能性はあります。

ノブの選定

まず、ノブの重量については、標準ノブと同等かな〜というものがだいたい小さめノブで5.7g、大きめノブで7.6g前後のようです。これが一つの基準点。

その重量を頭に入れて置いた上で、カッコイイ/持ちやすいノブ、それでいいと思います…が、ちょっと考えておくポイントがあります。

小さいノブへ交換した場合の変化大きいノブへ交換した場合の変化
掴みやすさ指で掴む握る・手のひらで掴む
力のかけやすさ力をかけにくい力をかけやすい
ギアへの負荷変化がないか軽減する大きくなる
重量・クラッチ返りへの影響変化がないか軽減する重くなりがちなので増加しやすい

※重量の影響はモノによるといったところもあります。パワーハンドルでもEVAノブはわりと軽く、金属ノブは小さくても重い傾向

ようは…

「フィネスなノブほど感度は上がり重量バランスが良くなるが、やや掴みにくく力がかけにくい」

「パワーノブほど握りやすく力がかけやすいだが、重量バランスを崩しやすく、ギアへの負担が増す」

ということです。これはもう好みで決めてもいいと思いますが、こういった影響がある、ということを頭に入れておくといいかなという話です。

トルク面で考えるなら「小さい≒小さい」「大きい≒大きい」くらいの考え方でよいかなと思います。

結局どう選べばいいのよ

結局、何が変化するのかを考えたらよいのかなーと思います。機能面では…

(1)ハンドルの長さの変化によるトルク・回転円周(時間あたりの巻上量)の変化
(2)ノブの大きさ/形状による力の入れ方(≒トルク)の変化

主に「トルク」の変化が一番大きく、次に「円周の変化、その次に体格とのフィッティングによる操作性」が変化すると考えるとよいかなと思います。

トルクだけに焦点を絞るとこんな感じになります

ハンドルを短くするハンドルを長くするノブを小さくするノブを大きくする
トルクUP
トルクDOWN↓    

2つが基本的に重要な要素で、その上でトラブル要因に「重量の増加」「過剰トルクによるトラブルリスク」「トルク不足による操作性の悪化」がある、と考えるとよいかなーと思います。

強度を担保しながら(素材強度を上げる等)、思った長さとノブを選んで、標準ハンドルと比べてほぼ変わらないか軽くするというのが理想ではありますが、好きなのを選んでいいんじゃないかなーという結論です。

必要なのは「そういう複合的な影響があって、自分のニーズに何が足りてないのかな?」と考えておくことかなーと思いました。

21アンタレスDC HGのハンドル探しメモ(自分用)

自分用のメモ書きです。探してる人の参考になれば。

要件定義

95〜100mmハンドル、重量は同等か以下、価格はまあとりあえず収集段階では問わない。

LIVRE CRANK Feather 95/100
【リブレ/LIVRE】 CRANK Feather 95(クランクフェザー 95)

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カスタムハンドル界のメジャーオブメジャー。チタンノブで有名なLIVREのうちぎりぎりのラインで該当するのがこの2つ。重量がともに33.4g表記なのですが、95mmはfino+(大きめ)、100mmはfino(小さめ)のノブを採用している形です。

候補としては95mm。意外とないんですよ95mm。

ただしパドルノブ(大)よりも3g重いだけなので気にするほどではないのですが、ノブがfino+で11g(1個あたり)なので、そこのバランスは標準よりちょっとだけ悪いです。

ZPI ZELOSマシンカットハンドル 92mm/102mm

EVAノブなのもあって、なんと重量が92mmで23g、102mmで24gです。概ね10gの軽量化が可能という恐ろしい軽さ。パワーハンドルでも+3gなのでその場合でもXG標準ハンドルを下回ります。

また、プレートのみの販売もしていて、こちらの場合おおよそ12.5g/14.5gです。

欠点としてはちょっと在庫が薄いところでしょうか。

Avail オフセットハンドルSTi2 シマノ用 95/100

こちらも定番、カラーバリエーションも豊富、プレートで買うならこちらもよいかなと思います。

固定ボルトは純正をそのまま使えるようですが、折角なのでカラーコーディネート推奨です。

95mmがプレート重量12.9g、100mmがプレート重量13.2g。ベアリングとセンターナットで4gなので、重さとしては軽量ハンドルとして十分な軽さです。だいたい8gくらいのハンドルで標準バランスですね。

各種ハンドルノブとの相性もよいので、ハンドルノブをオリジナルで扱いたい場合はよいですね。

XG純正ハンドル

ズコー!って感じですけど、なんといってもプレートからノブから全部がついて8000円くらいで買えるので抜群に安いんですよ。色気も何にもないんですけど。

実はHGの一番手軽なハンドルチューンはこれ。精度はお墨付きですしね。

その他、102mmパワーハンドルなら炎月プレミアム等のシマノ純正アフターパーツの「ハンドル組」を買うという手もあります。BH-1のハンドルなら互換性があるのでその他どのリールでも問題なしです。

余談

個人的にはバランサーショートハンドル(80mmくらい)+ロングノブという構造があるといいなと思うのですが、なかなかないですね…。

小さめかつ重めのノブで雰囲気バランス化してあげればいいんだろうか…。

予算があればな〜って感じでもあります。