プロマリン 海将黒鯛と最高のスプールストッパー

放課後ていぼう部の最新刊が落とし込み釣りでして、タイコリールいいねーって話をしてたんですね。近隣はわりと湾奥ヘチチヌのメッカでもありまして。

いつもの探しログ

余りコストをかけたくないというのもあって予算は1万円。ロッドは当面スピニングで兼用。

ただ、なんだかんだタイコリールで心配なのは盛大なバックラッシュでして、クラッチもドラグもラインガイドもないタイコリールはどうしたってトラブルが起きやすい。

なので、当初はスプールフリーになるイカダリールアイスフィッシング用のリールを探したりしてたんですよね。いいなぁと思ったのは13fishingのアイスフィッシングリールだったんですけど、こっちはそれ自体がないのでちょっと手に入りにくく、また、イカダリールだとKガイドとラインの位置が悪い。

となると、ストッパー付きタイコリール…なんですが、黒鯛工房は予算を大幅にオーバー。一番安くて宇崎日新のモデルでこちらでも1万円は超えてしまいます。

それじゃDIY…と、タイコリールでストッパーの自作を見て見るも、ビスとゴムを使って自作…とか、結束バンドを使って自作…みたいなのはあったんですが、正直デザインが微妙…。

その中で、タイコリール用のストッパーを3Dプリンタで自作されてる方がいたんですよ。

その紹介動画を見たらこれがめちゃくちゃ凄い

すごくないですか

スライド一つでスプールフリーとクリックストッパー(フライリールのドラグクリッカー)が切り替わります。どうして他のスプールロックのついたタイコリールもこの構造じゃないんでしょう…??ってくらい最高のデキです。

余りにも感動してしまって全部即ポチしてしまいました。

ポチったタイコリールは海将黒鯛 KA-87

プロマリン(PRO MARINE) リール 海将黒鯛 レッド KA-87R

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プロマリンの海将黒鯛。最高の回転を持つ、ロック機能なしのタイコリールではほぼ一択といっていいレベルで評価されてるタイコリールです。左右はないのでどちらでもOKです。

ただし、初期のボールベアリングメンテナンスは必須とのことなので以下のメンテナンスを行いました。持ってるメンテナンスオイルで十分なので手持ちで処理。

一部で言われるオイルレスにはしません。なお、クレ556はべたつきが起きやすく、また、オイル切れしやすいのでオススメしません。安価なオイルでもAZ OILCKM-001、ちょっと奢るならフッ素オイルやiOSなど「フィネス向け」がオススメ。油脂類は下記でまとめてあります。

メンテナンス分解ログ

展開図
必要な工具

ピンセット・爪楊枝・油脂類・パーツクリーナー・キッチンペーパー・小瓶

■あるとちょっと便利なもの

ベアリングチェッカー(脱脂後、ベアリングの回転がスムーズか確認できます)

作業行程
  1. スプールキャップ “14:Spool cap” を緩めて、ハウジングからスプールを外す
  2. 六角クリップ “12:Retainning Clip” を外す。六角形の押さえバネです。爪楊枝などで溝から抜いてあげるととれます。よくすっ飛ぶので注意
  3. スプールからボールベアリング “10:Ball Bearing”+ ブッシュ “11:Bush”+ ボールベアリング“10:Ball Bearing”を抜き出す。
    ベアリングとブッシュの間に表記されていないガタ調整ワッシャーが入っていることが多いようです(うちも2枚入ってました)
  4. [3]で抜き出したものを小瓶に入れて、パーツクリーナーでひたひたにして脱脂します。
  5. ベアリングの中をキッチリ脱脂するためにベアリングだけ残して2〜3回脱脂します。
  6. ハウジングの軸をパーツクリーナーで軽く脱脂します。
  7. スプールの軸受け挿入部分を軽く脱脂します
  8. ベアリングにフィネス向けのオイルを表裏2滴注油します。(私の場合フッ素オイル)
  9. CKM-001をペーパーに吹き付けてベアリングの表面を防錆対策にでコーティングします。
  10. ブッシュにも同様にCKM-001でオイルコーティングします。
  11. ハウジングのスプールシャフト粘性の高いCKM-002もしくはフッ素ウレアグリスを薄く塗布します。スプレーグリスでもOKです。
  12. スプールにベアリング類を戻してリテーナーで固定します。順番は元の順番通り、ベアリング→(ワッシャー)→ブッシュ→ベアリング→六角リテーナー です。
  13. スプールとハウジングに組み合わせて、スプールキャップを締めて終了です。

メンテナンス後の感想

よくあるスプール回転時間。

…人と場合により入力がマチマチなので余り参考にはならないですが…

購入直後は20秒ないくらいだったものが、メンテナンス後は強くいれて55秒くらいになりました。

ベアリングチェック時にちょっとハズレベアリングかなぁ…という感じの音で、いずれ交換するかもしれませんが、それでもこれくらい回りますし、実釣性能としては十分かと思います。

メンテナンス性を考えるならベアリングのシールドを片側外して開放部外向きで取り付け、釣行ごとに雑にそのままクリーナーで落としてオイルアップしてもよいかもですね。

そして感動のクリックストッパー

メルカリにて「CUSTOM.J」さんが出品されてます。

メルカリ未登録でしたら招待コード使って購入されると少しお得になりますのでよかったらどうぞ。

招待コード:GNFZRN

左からクリックストッパーのレバー部分。クリッカーギアとその押さえパーツです。シンプルな3パーツですが精度も出ていて組付精度はかなりよいです。

出力の細かなバリなどはありますので、2000番程度のヤスリで整えて、4000〜6000で仕上げてもよいかなと思います。

動画・取り付け方法もありますので、誰でも取り付けできるかと思います。6角レンチは2mm、2.5mmを使うようですので、なければ準備しておいてください。安いもので十分です。

TRUSCO 六角棒レンチ 2.0mm

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クリックストッパーの取付

  1. スプールを取り外します。
  2. (追加作業)クリックスイッチの接触部分に摩擦軽減のため薄くグリスを塗布
  3. ハウジングにクリックスイッチ部分を取り付けます。スイッチの場所はここで決まりますので、好きな位置に取り付けてください。
  4. スプールにクリッカーとなるギアを取り付けます。取り付け角度は問いませんが、ガタがないようにとりつけてください。ただ、締めすぎると割れる(気がする)ので注意です。
  5. (追加作業)クリッカーギアの歯に薄くグリスを塗布
  6. ハウジングのクリックストッパーを解除した状態(外側位置)にしてスプールを戻します。

取り付けは誰でもできます。こんだけめちゃくちゃ機能がいいのにこの取り付けの作業性は素晴らしいです。

2と5のグリス塗布は私が追加したものですが、3Dプリンタ出力の樹脂でもあり、本体とクリッカーとの摩擦で削れてしまうことを少しでも減らすためにグリスで潤滑性をつけています。

スイッチ部は軸を挟み込むC型のバネ構造なのでむしろ多少潤滑したほうが扱いやすい(はず)

元々ドラグとして使うわけではないのでギアとストッパーが噛む構造が残っている事が大事で、ラインが出なければよいだけなので、開店時により軽く滑ってしまっても問題はありません。

完成品の紹介

スプール側に重量が増える分の影響はあるかと思いますが、慣性についても軽量のパーツが軸近くにつく形ですし、クリッカー部分は全く干渉しないので回転性能への影響はほぼ考慮しなくてよいです。

それでいてクリッカーを押しこむとカチカチカチカチと小気味よい音でクリックストッパーが機能します。

このストッパーは単純なストッパーではなく「クリッカードラグ」の構造なので、その状態で掛かったとしても全く問題が無いというのが大きいんですよね。

ドラグとしてのストッピングパワーはありませんが、不意に引っ張られてスプールが過回転してバックラッシュするような事は防げます。

実釣が楽しみ!

余ってたPE2号を80mくらいまいて、ハリスも準備。天気が不順で実釣にいけてませんが楽しみです!

追記:実釣してきました

…難しいですね…ヘチ釣り…。

スプールの回転はもちろん必要十分。ストッパーで止められるから色々作業の時も問題なし。そのまま片手でちょっと糸を出す、糸を巻き取るもできますし、もちろん巻く事も送ることもできます。

いや、このシステムは良いですね。素晴らしいストッパーを開発してくれた方に感謝しきりです。

スライド側の緩み止めは塗っておいた方がよいかも

スライドスイッチ側、ネジ受けが樹脂なので緩み止めを塗っておいたほうがよさそうです。脱落するとかはなさそうですが、緩むとクリッカーの効きが弱くなります。

ナットインサート型になったら改善しそうかな。