バーブレス“化”フックの話

最近、買ったルアーのフックはできるだけ下ろす時にカエシを潰すようにしてます。まとめてやると大変なんですよね。

でも、やってなかった分もいっぱいあるんです。

ニギニギニギニギニギニギニギニギ…

そんな四方山話。

なぜバーブレスにするのか

理由としてはもう簡単で、何かあったときのリスク軽減です。

経験者のBlogを読むのが一番早いと思います。

子供と一緒に釣りをする事もありますし、自分一人で釣りをするときに自分を釣ってしまうこともこの先アルでしょうし、誰かに掛かってしまうこともあるでしょう、

そのときにバーブがなければ最悪の事態は免れる。そういうことです。

といっても、例えば使うサビキのハリを全部バーブレスにします!とかはさすがに厳しいので、基本的にはルアーフックやメタルジグのシングルフック等、ある程度の大きさがあるものをバーブレス化してます。

工具の話

バーブレスにする工具は一般的なラジオペンチで根元にカッターがついていないものを使っています。その方がいわゆる「支点力点作用点」の構造上、潰すのに都合がいいんですね。

ただ、普通のペンチだと多くのフックで先が太すぎですし、プライヤーだと力が入りにくいのと、平面が小さくて潰しにくいのでラジオペンチが最適。

フックの材質にもよりますが#4番くらいまではなんとかなります、そこから上はだいぶ厳しくなりますね。

綺麗に畳めるのはマイクロバーブのもの。ダメなのは太軸で目に見えてデカいカエシのものと、硬質のフックですね。30%以上の確率で潰す前に折れます。まあ、折れてもそのままグリグリして折れたカドを鈍にしたらバーブレスではあるのですが…。

ビッグベイトの#1等は、たまたまもってたスリーブ用の倍力つきカシメ機を使ってますが、倍力ラジオペンチとかほしくなりますね。

どこかの釣り関連工具もつくってる工具メーカーさん(iCRIMPをつくってるiwissさんとか)が作ってくれないかなぁって期待してます。

そういえば、握ってるとフックの材質の違いなんか結構わかって、それはそれで面白いところです。

こじるとポッキリおれるハード系もあれば、ちょっと力入れればかんたんにアウトポイントにかえられそうなフックとか、いろいろありますね。

バーブレス”化”のデメリット

バーブ付きフックをユーザが”バーブレス化”する場合のデメリット、それは「手間が掛かる」そしてその結果「カエシの部分から錆びる」ことだと思います。

ちまちまペンチで潰すことになります。フックの太さなどでなかなかつぶれてくれないものもあります。なんだかんだ1本トレブルでハリ3本。

ニギニギニギニギニギニギニギニギ…

まあ…めんどくさいですよね。時間もそれなりにかかります。

それでやってることが「ハリを痛める行為」なんですよね。やっぱり。

どうしてもメッキで錆を抑制しているので、カエシの部分が折れればメッキがない部分が出てきます、ペンチで綺麗に抑えようとすると表面に傷がつきます。釣行後みれば「そこ」には簡単に錆が出てきます。

また、フック自体が歪む事もありますし、#5の細軸みたいなフックは折れたこともあります。

この作業をしないでやろうとすると、フックを全交換するしかないわけです。そうすると1本あたりだいたい100円。そして新品のカエシのついたフックはそのまま捨てるという、やっぱりユーザ負荷の大きい行為なんですよね。

それを考えるとユーザ側の「バーブレス化」という作業は、手間をかけて折角の製品の機能を削り取る。という事なんです。これが一つ「バーブレスに進まない理由」の一つにあると思います。

もちろん、カエシがなくなる分の「バレやすさ」は心理的な影響がありますし、「あれがあったらバレなかった(バレたら後悔するかもしれない)」という不利益を被りかねない行為をする心理は大きいですよね。

つまり「手間をかけて製品を劣化させて(若しくはお金を払って)、後悔するのは自分」なのですから、確信してやる人以外には、もはや多重苦といっていい行為です。

そりゃ、流行るわけないですし、バーブレス指定のボートにバーブそのままの人が乗り込んだりする一因でもあると思います。

バーブレスはバレるという言霊

バーブレスはバレる。当たり前のように言われてます。

実際、ただ抜いて差せば抜けますし、有名アングラーも「経験上バレやすい」といってるのですから、バレると言われればそう思うしかないですよね。

ただ、メバリングでバーブレスを推奨してるINX.rabelさんではこんな記事を上げてます。

実際の動作検証が困難だけに、「バーブレスはバレる」という言霊で過剰な懸念になってないかなと思うわけです。

バーブレスだからバレるかもしれない…けど。

構造面で考え、統計をとっていけば、もちろん事実としてバレやすいかもしれないのでしょう。

ただ、比較的水面で暴れるエリアトラウトはそれで成立させてますよね。鮎の友釣りだってアレで成立させてるわけです。

おそらくその「バレやすい」とするシチュエーションは「技術と機構」でかなり解決できる問題なのかな、という気はしています。

例えばルアーを捻られてフックアウトするようなタイミングは、捻られたルアー、フック、仕掛けを広く見て、研究して、考えていくことで、フックアウトしにくくなるかもしれない。

また、暴れさせないように、まるで手品師のように魚を静かに引き寄せる技術があるかもしれない。

そして、それこそがまさに「ゲーム」だと思うんですね。

なんとなくSHIMANOのこの辺見プロの記事なんかはヒントがあるんじゃないかな?なんて思ってます。

バーブレス使って結果を出せるのは腕がいい…ってコト!?

バーブレスはバラしやすいという心理は基本的に「可能性を下げる」行為ですよね。だから心理的に受け入れがたいところが大きいと思うんです。

でも、バーブレスは難しいという”それ”を別の意味でとらえると…

もし「バーブ付きとバーブレス、同程度に上げる人たち」がいたら、バーブレス使ってる人はバーブ付きのフックを使っている人よりも間違いなくファイトの難易度が高い状況で釣っている、つまり技量が上ってことですよね。

それ、めちゃくちゃカッコイイよくないですか?

釣りではよく「スレる」「パターンが通用しない」「プレッシャー」とかまあいろいろと「難易度が高い事を誇るような言葉」をよく使いますよね。

バーブレスだってファイトが甘いと逃がす可能性が増えるわけですから「そこ」に入るじゃないですか。

「バーブレスだからこそアングラーが進化する。ゲームフィッシングはより昂ぶる」と思うんですよね。

古来からある「カエシ」に頼らなくなる、という進化とその価値(名誉)の創造。

そろそろあっていいと思うんですよねぇ。

ゲームフィッシングだからこそバーブレス

釣って食べられそうな魚は基本的に食べる主義で釣りをしていますが、あくまでもこれは生業ではなくやむなく糧を得る行為でもない。趣味、娯楽、ある広い意味で言えば「ゲーム」です。

生活の糧を得るわけじゃないですから、「バーブレスでとれないなら技量不足」でいいと思うんですよね。

管理釣り場では当たり前のようにバーブレス、ヘラブナ釣りもバーブレスです。

その「当たり前のルール」ならそれで成立するものが、何故ソルトルアーでできないのか、置き換わらないのかを考えれば、答えは単純で、メーカーが標準搭載しないからだけだと思うんですよね。

フックメーカー・ルアーメーカーに臨むこと

バーブレスフック標準化を願う

とはいえ、メーカーも商品を売るわけですから、バーブレスがバラしやすいという印象だけがある以上、選ばない、選べないのもわかります。

通常量産されるフックじゃなくなるので仕入れ単価が変わるだろう事も、買ってくれた以上、釣らせたいという気持ちもわかります。

バーブレスにしたらユーザからマイナスの声や苦情がくる(ネットに書かれる)だろうことは想像に難くないです。

それでも、ルアーゲームはバーブレス標準。カエシが欲しい人はカエシ付きのフックも売ってるから、自分で交換してね。と、なっていって欲しいんですよね。

それはもうユーザの安全のためもそうですし、

フックメーカーはバーブレスを進化させてほしい

少しづつ出てますよね、カエシではなくグリップライン付きのバーブレスやその刺さりやすさを考え、フッキングから速やかにバレにくいフトコロの構造を考えたフックなど、業界としてちょっとづつ動いてるのは感じます。

ただ、やっぱり現状見ると、トレブルについては「カエシがないもの」がバーブレスで、バーブレスのためのバーブレスというのはなかなかない。

土肥富なんかはいろいろと工夫されてますけども、シーバスルアーでバーブレスに踏み込むメーカーと、フックメーカーが手を取って、商業的な問題と併せて変化し、進化していって欲しいですね。

ルアーメーカーはバーブレスフックとの進化をしてほしい

「このルアーはこんなに魚が釣れます」

これこそがルアーメーカーの稼ぎの骨子と繰り返される商業的意味であり、また作り手の釣り人としての進化だと思ってます。

だからこそ魚を魅了し、釣り上げるところまで、バーブの機能も含めて欲しい(機能としてあるもの)というのは理解します。

だからこそ、バスルアーやシーバスルアーなんかはバーブレスルアーとしての研究・進化がなされていないとも思うのですね。

ただバーブレスにしましたでは、バーブレスになったことで起こりうるデメリットがそのまま残るのは当然で、だからこそバーブレスフックにも適正化した新たなルアーの在り方を考えて欲しいんですよね。

トラウトをやって関心したのは、シングル+バーブレスという環境だからこそ、フックだけではない全体の最適化がなされてるのだなぁと感じた所です。

といっても、業界の習慣がひっくり返るレベルの事案ですから、なかなか難しいんだろうな…とは思うんですけどね。

そんなことを考えながらカエシを潰してます。

ニギニギニギニギニギニギニギニギ…

最後に、「東京湾シーバスガイド&チャーターボート アイランドクルーズFC」さんの記事を紹介します。実際にフックが刺さったケースの紹介をしていて、話を読むだけで血の気が引くような感じですね。

また、バーブレスは技術でクリアできる、という記述は、この記事以外にも結構あります。

ちなみに先日とったフッコさんはもちろんバーブレス化済でしたが、ちゃんと上がりましたよ。

一度スっとテンションが抜けたタイミングがあって、こりゃバレたかな?と思って巻いたらまだ普通にかかってたし、派手なエラ洗いとかもしなかったので、たぶん、なんかいろいろ掛かってからのこちらのアクションで、バーブがないコトを利としたファイト方法を確立することはできるんじゃないかなーなんて思うのですが。

結局、なんでうまいことファイトが成立して上がったかはさっぱりわからないんで、きっとなんかあるかもしれないし、たまたまかもしれないし。

でも、上手な人にその「技術」を見つけて欲しいな〜なんて思うところです。